MIEちゃんの手紙を見る

気持ち

父親と二度と会いたくないのに合うことを避けられない

私のお父さんは、お母さんと何年も前に離婚しています。

理由は虐待です。今、私は中1ですが小さい頃から父親の虐待に合っていました。

私は発達障害なのですが、そのせいか小学校のみんなの勉強のペースについて行けず、日に日に学校に行くのが嫌になりました。でも、学校を休むと父親から暴力を振るわれました。

その後、支援学級に入ったのですがいじめられました。その時は学校に行くのが嫌になりましたが、支援学級に入ってからは、学校が楽しくなって来ました。

小学3年生の夏休み、終盤になってから宿題をやり始めたのですがなかなか終わらず、父親に教えてもらっていたのですが私の物わかりが悪いせいか父が怒って漢字ドリルを真っ二つに破りました。それから数日、暴力が続いたので、母はとうとう限界を迎えたのでしょう、私と妹を連れて家を出ました。父親のせいで私と妹は、児童相談所に連れて行かれる事になりました。その時の虐待の怖さが残っているのか、父親を見ると恐怖しか感じなくなりました。

どうしたら父親に会うのを避けられるでしょうか?

 

MIEちゃんより

小さい頃から怖い思いや辛い体験をたくさんしてきて、思いだすと今も心が痛むでしょうに勇気をだして話してくれてありがとう。

あなたは小学生の頃、みんなの勉強のペースについていけず、学校へ行くことがしんどくなって休んでいるのに、お父さんは、そんなあなたの苦しい気持にも気付かずに学校へ行かせるためにあなたに暴力を振るったのですね。暴力は、身体ばかりか心をも傷つける行為なので、もうこれ以上されたくないという思いから、嫌だと思いながらも相手の言うことを聞いてしまうことにもなりかねません。学校があなたの困り感に気付いて支援学級で学べたことや、いじめがあったもののそれも乗り越えることができたことは、素晴らしいことだと思います。あなたにとって学校が楽しい場所になって良かったです。

それなのに、小3の夏休みでのことは、本当に怖かっただろうと思います。お父さんは、あなたを理解しようとはせず、自分の苛立ちをあなたにぶつけ、その上、数日間も暴力を振るい続けるなんて、あってはならないことです。暴力を受け続けているあなたの気持ちや恐怖を思うと、胸が締め付けられます。

それは、私自身がしつけの為と叩かれて育ち、目の前で父親から家族が暴力を振るわれて傷ついている姿を何度も見てきた経験があるからだと思います。逆らったり止めたりしたら暴力は増々ひどくなったので、父親の言うことはたとえ理不尽であっても聞くしかありませんでした。暴力は家族をも支配し、父親の気が済むまでは耐えて待つしかないのです。それでも、心の中で声にならない声が、お父さんは間違っている!と叫んでいたことを思いだします。私は、人を人とは思わない行為である暴力が嫌いです。自分は、親から愛されていないのだと思っていたので、苦しく寂しい思いをしてきました。自分のことが嫌いで、ここに居る意味があるのか、何のために生きているのかと、自問自答していました。それでも、狭い家庭から出てみると、色んな人がいて、いろんな価値観に出会いました。自分自身が大切に思える人と出会って、自分も人から大切にされる安心感が持てたことで、自分はここにいていいのだと思うことが出来ました。今でも、自分自身に権利が当たり前にあるものとして、子どもの権利条約を私自身が学んでいる最中です。

 

父親の暴力から逃れるために、あなたの母親があなたやあなたの妹を守り、家を出て父親と離婚をしたことはとても勇気ある行動だと思います。その上、子どもたちが安心できて安全なくらしがおくれるように児童相談所などに助けを求めたことも必要なことだったのではないかと思います。それでも、あなたやあなたの妹にしてみたら、不安や寂しさでいっぱいなのに、母親と離れることを受け入れざるを得なかったのではないかと思います。

あなたが今、親と暮らしているのか、施設で暮らしているのかは分からないのですが、あなたが父親を見ると、小学生の時の虐待が思い出され、恐怖しか感じないのだという気持ちを聞いて貰える権利があり、児童相談所には、子どもの話を聞く意見表明支援員が配置されています。

今の心の状態や父親に会いたくないという気持ちを話せる大人はいますか。身近な人にも話せない時は、あなたの話に寄り添いながら、あなたのSOSに対して児童相談所などの相談機関につなぐことが出来るこどもほっとダイヤル(0800-200-2555)があります。

また、チャイルドライン(0120-99-7777)は、あなたの気持ちを聴いてくれるところです。すぐに解決できないことでも、誰かに聴いてもらうことで気持ちが軽くなり、自分の気持に気づいたり、考えが整理出来たりします。

 

【子どもの権利条約】

・子どもの権利条約9条「親と引き離されない権利」

子どもは、親と一緒にくらす権利をもっています。ただし、それが子どもにとって良くない場合は、はなれてくらすことも認められます。離れて暮らすときにも、会ったり連絡したりすることが出来ます。

・子どもの権利条約第12条1「意見を表明する権利」

子どもは、自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利をもっています。その意見は、子どもの発達に応じて、じゅうぶん考慮されなければなりません。

・子どもの権利条約第12条2「聴かれる権利」

この目的のため、子どもは国内法の手続規則と一致する方法で、自己に影響を与えるいかなる司法的および行政的手続きにおいても直接、または代理人もしくは適当な団体を通じて聴聞される機会をあたえられる。

・子ども権利条約19条「虐待・放任からの保護」

親(保護者)が子どもを育てている間、どんなかたちであれ、子どもが、暴力をふるわれたり、むごい扱いなどを受けたりすることがないように、国は子どもを守らなければなりません。

・子ども権利条約23条「障害のある子ども」

心やからだに障害があっても、その子どもの個性やほこりが傷つけられてはなりません。国は、障がいののある子どもも充実してくらせるように、教育やトレーニング、保健サービスなどが受けられるようにしなければなりません。