子どもたちへMIEちゃんに聞いてみよう
MIEちゃんの手紙を見る
- いじめ
自分でも本当の気持ちが分かりません
僕は学校で2人の男子からいじめを受けています。
首を絞められたり、階段から突き落とされそうになったり、殴られたりします。自分でも我慢している自覚はあるのですが、相手の圧が強いので中々はっきり言えません。言えたとしても「やめろって」くらいなのでおそらく相手は「こいつならいじめて大丈夫」と思っているのかもしれません。あるいは、いじめている自覚がないのかもしれません。
どっちにしろ、自分はとても嫌がっています。ですが、いつも他の友達に心配されたりしたら、「大丈夫」と言っています。それを真に受けている友達は、本当に大丈夫だと思っているので自分もいつの間にかずっと言い続けている「大丈夫」という本当ではない気持ちに飲まれていくような感覚があります。ですが、いじめられるのは辛いです。どうしたらいいですか。
MIEちゃんより
あなたが学校でいじめを受け、とても嫌な思いをしているのに、はっきり言えなかったことで、相手に「こいつならいじめて大丈夫」と思われてしまうのではないか、また、いじめている自覚すら無いのではないかと、怖くて不安な気持ちでいることを、話してくれてありがとう。
あなたも自分なりに、いじめる子たちに嫌だと強く言った方が良いのではないか。友だちに本音をぶつけてみようか。先生や親に相談しようかなど、色々想定したり、考えたりしていると思います。なのに、そう考えながらも、辛い気持ちを我慢してしまうのは、いじめを受けているという現実をあなた自身が受け止めることができず「大丈夫」と思いたいのではないかと感じています。友だちにずっと「大丈夫」と言い続けてきたことで、自分自身の中にある悔しかったり、悲しかったり、怖かったりする気持ちを隠してしまっているのではないかと思います。
最近のテレビ番組で「いじりは必要か」という中学生への投げかけに、「場を明るくするためにも必要だ」とクラスの全ての班の子どもたちが答えました。1人の女生徒が嫌だと感じていても言えないまま授業は終わり。次の授業の時には、何故いじりが必要なのかという意見をそれぞれが出し合うことになりました。その中で「いじりの中でもやめて欲しいいじりがあり、見た目のことや家族のことは言われたくない」と勇気を振り絞って発言しました。すると、それがきっかけで「嫌だったのに嫌と言えず、笑ってごまかしたことがある」と、言う生徒も出てきました。
みんなのためにも、いじりは本当に必要だと考えていた子どもたちは、みんな同じ気持ちだと信じて疑わなかったのです。一人の生徒の気持ちを聞き、考え方、感じ方はひとりひとり違っていて、大勢の中では言い出しにくく、表現することで知ることが出きました。
私は、子どもたちが口々に言っていた「いじりは場の空気を明るくするために必要だ」と言う考えを聞いて、学校では暗くなることやマイナスイメージはダメだと考える周囲の空気があることを知りました。あなた自身が自分の負の感情を受け止められない。いじめられていると言えないのは、そんな周りの空気も関係があるのではないかと、考えさせられました。
いくら自分に「大丈夫」と言い聞かせても、状況が変わらない限りしんどい気持ちが続きます。どれだけ1人で考えても、行き詰まってしまうことが多く、それ以上に暴力での支配関係ができてしまうと、そこから抜け出すことは容易ではありません。気持ちに正解、不正解はありません。どれも大切な気持ちです。誰かの助けを必要とすることは何も悪いことではないし、借りられる力は、何でも借りて良いのです。助けて貰うことは大切なことです。
何よりあなたの命が一番大切です。我慢した結果、身体や心を壊してしまうことがあります。辛い、苦しいと思うときは、自分を守るためにも心が疲れるところから距離を置くことも大切です。今自分が置かれている状況から逃げても良いのです。いじめで絶対的に悪いのは、いじめる側です。
自分で自分の気持ちがわからない。誰にも話せないというときは、チャイルドラインに話してみて欲しいと思います。名前は言わなくても良いですし、嫌なら途中で切っても構いません。話すことで整理がつくことや、自分の気持ちや考えに気付くことがあります。また、ほっとダイヤルは「たすけて」が言える電話です。親や学校などにこちらから伝えることもできます。
・子ども権利条約第12条「意見を表す権利」
子どもは、自分に関係のあることについて自由に意見を表す権利をもっています。その意見は、じゅうぶん考慮されなければなりません。
・子どもの権利条約29条「教育の目的」
教育は、こどものもっているよいところをどんどんのばしていくためのものです。教育に同じように大切にされるということや、みんなとなかよくすること、みんなの生きている地球の自然の大切さなどを学べるようにしなければなりません。
・子ども権利条約39条「犠牲になった子どもを守る」
子どもがほうっておかれたり、むごいしうちを受けたり、戦争にまきこまれたりしたら、国はそういう子どもの心やからだの傷をなおし、社会にもどれるようにしなければなりません。