子どもたちへMIEちゃんに聞いてみよう
MIEちゃんの手紙を見る
- 家族
「分かってもらえない」
私は学校に行きたくないです。
先生が差別をしたり、自分が宿題を真面目にやっても遅いからです。
今日は、宿題がうまくいかなくて、鉛筆を床にたたきつけ、自由帳の表紙を破ってしまいました。そのあと、部屋にこもろうと決めました。部屋の様子を見た母に、心配してほしい気持ちがあったので、あえて鉛筆と紙を片付けませんでした。でも、母は帰ってくると、不機嫌でした。私は、母に気づいてほしかった、そして心配してほしかったのに、紙や鉛筆を片付けてしまいました。以前母に学校行きたくないと言った時は、冷たい反応をされました。私は本当にサボりじゃなくて学校に行きたくないのに、母にわかってもらえません。どうしたらいいですか。
MIEちゃんより
あなたは、先生が差別をすることや宿題を真面目にやっているのに遅くなってしまうことがつらくて、学校へ行きたくないという気持ちになっているのですね。そのことをお母さんにわかって貰いたいという気持ちも伝えてくれてありがとう。
私は、子どもの頃に母に叱られ、恨めしくやるせない気持ちになったことを思い出しました。結果を見れば怒られても仕方がないことをしたのですが、それには私なりの理由がありました。頭ごなしに怒鳴られ、納得ができない思いをしたことを今でも覚えているので、わかって貰えないという思いは、そんな気持ちではないかと想像しています。私は、長い間そんな思いを話すことはできなかったのですが、あなたは、悩みながらも勇気を出して伝えてくれてありがとう。
あなたは、宿題を真面目にやっても遅くなり、うまくできなくてイライラする様子を伝えてくれました。あなたにとって宿題がとてもストレスになるくらい、学校の勉強についても、わからないところがあるのではないかと思います。それなのに、宿題をやろうとしたことや物には当たってしまったけれども、人には当たらなかったことなど、学校や家庭で決めたルールを理解し守ろうとしていたことは、お母さんや先生に認めて欲しいことだと思います。当たり前のようにしていることは、あなたですら気付かないかもしれませんが、あなたはあなたなりに努力していると思います。しかし、結果は、お母さんに心配して貰うどころか、反対に冷たい反応になってしまいました。これは想像ですが、突然たたきつけられた鉛筆や破れたノートを見てしまうと、冷静ではいられなくなり、物を大事にしない。やるべき宿題をやってないなどと、怒りになったのではないかと思います。私も、自分が疲れていたり、余裕がなかったりすると、そんな時があります。
私は、あなたのイライラは怒りだと思います。わからないことを抱え続けていると、わからない自分はだめだと思ったり、わからなくて焦ったり、取り残されそうで怖かったりして、出来ない自分を嫌いになってしまいます。わかるように教えてくれないことにも怒りがわきます。怒りの奥には、教えて欲しい。助けて欲しいと言う悲しい気持ちが隠れているので、私はあなたがSOSを出しているのではないかと思います。
私は、怒りは大切な感情の一つで、その裏側にある悲しい気持ちを知るための物だと思います。だけど、貯め込んだ怒りは、何かのきっかけで大きな爆発になり、暴力という人を傷つける力にしてしまうこともあります。
また、自分自信でイライラしたとき、嫌だと思っているのだなと自分自身の気持ちに気づければ、嫌だと思うことからも逃げることができ、人も傷つけず自分の命をも守ることができます。逃げることは悪いように思われがちですが、大切なことです。
学校で宿題がわからなくて困っているのに誰も助けてくれない。また、わからないことで差別を感じる。それは、とてもつらいことです。そのことで、あなたが、学校を休みたいという気持ちになるのは、傷つく心を自分で守りたいと思っているからです。あなたは、つらくなった心やからだを休ませることができ、学校を休む権利があります。今回、あなたがお母さんにわかって貰おうとしたやり方は逆効果になってしまいましたが、あなたの困っていることをわかって貰いたいという気持ちは何も間違っていません。先生やお母さんは、あなたとあなたの困り感を共有して、あなたのわかるところから学習を始めて欲しいと思います。わかることは嬉しいことで、学ぶことが喜びになれば、意欲にもなり自分への自信につながります。学ぶことは、あなたの可能性が広がることだと思います。
子どもの権利条約
・子どもの権利条約第2条「差別の禁止」
すべての子どもは、みんな平等にこの条約にある7権利をもっています。子どもは、国の違いや男か女か、そのようなことばを使うか、そんな宗教を信じているか、どんな意見をもっているか、心やからだに障害があるかないか、お金持ちであるかないか、などによって差別されません。
・子どもの権利条約第3条「子どものもともよいことを」
子どもの関係のあることを行うときには、子どもにもっともよいことは何かを第一に考えなければなりません。
・子ども権利条約第12条「意見を表す権利」
子どもは、自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利をもっています。その意見は、子ども発達に応じて、じゅうぶん考慮されなければなりません。
・子ども権利条約第28条「教育を受ける権利」
子どもに教育を受ける権利があります。国は、すべての子どもが小学校に行けるようにしなければなりません。さらに上の学校に進みたいときは、みんなにそのチャンスがあたえられなければなりません。学校のきまりは、人はだれでも人間として大切にされるという考え方からはずれるものであってはなりません。
・子どもの権利条約29条「教育の目的」
教育は、こどものもっているよいところをどんどんのばしていくためのものです。教育に同じように大切にされるということや、みんなとなかよくすること、みんなの生きている地球の自然の大切さなどを学べるようにしなければなりません。
・子どもの権利条約31条「休み、遊ぶ権利」
子どもは、休んだり、遊んだり、文化・芸術活動に参加する権利があります。